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採用メディア「Gift」を作った理由。ていねい通販ブランド戦略の新たな一手【前編】(株式会社生活総合サービス様)

大阪市西区に本社を構える株式会社生活総合サービスは、「ていねい通販」というブランドのもと健康食品・化粧品等の通信販売業を行っている企業です。

https://www.teinei.co.jp/

リピートマーケティングの責任者、そして、採用責任者を兼務する戸田さんは、【Gift〜仕事という贈りもの〜】という自社採用メディアを立ち上げ、先取的で独自性のある採用広報を展開しています。

生活総合サービスが「どうして、採用コンテンツメディアに取り組むに至ったのか?」そして、「採用コンテンツメディアを通して、どのような効果を期待しているのか?」。その狙いについて、インタビューをさせていただきました。(取材/編集:株式会社FanReC 道場)


インタビューした人

戸田 良輝(Yoshiki Toda)

リピートマーケティング責任者、採用責任者として生活総合サービス(ていねい通販)をリードする。マーケティング、ブランディングのノウハウを元に、採用活動にもマーケティング発想で取り組むことで採用広報活動に積極的に取り組み、毎年、高い採用成果を残している。


採用活動も事業活動の一環として

道場:
本日はよろしくお願いします。まず、自社採用メディアである「Gift~仕事という贈りもの~」を立ち上げられた背景を教えてください。

戸田:
このメディアは「採用メディア」と呼んではいるものの、採用は目的の一部でしかありません。目的のど真ん中は、会社が目指すビジョンに世の中を近づけるためです。どんなビジョンかと言うと「優しさの連鎖が続く世界」と僕らは呼んでいます。簡単に説明すると、人からもらった優しさを他の誰かに繋げていく「恩送り」が続いていく世界です。その世界作りにおいて採用活動という文脈でどんなメディアを作るべきかを考えた結果生まれたのがこの「Gift~仕事という贈りもの~」です。

「恩送り」という価値観をどうやって感じてもらえるか。就職活動の学生の立場で考えた時に、今の就活の価値観ってどうしても「仕事=自己成長」みたいなイメージが強いなって思ったんですね。そうすると学生みんなが自己成長を主軸に置いているわけではないので「どんな仕事を選べばいいか分からない」と感じている学生も多いんですよね。その中で、ひとつの価値観として「仕事とは、誰かを笑顔にする贈りもの」という考えを伝えることが、そういった学生たちに手を差し伸べることになるかもと。それが、採用メディアを立ち上げると決めたきっかけですね。

道場:
採用活動だけではなく、企業ブランドを体現するものとしての位置付けからスタートしたということですか?

戸田:
はい。基本的には採用活動そのものもビジネスとして自分たちの事業を伸ばすこと、ファンを増やすことに繋げることを意識しています。リピートマーケティングの責任者をしているからかもしれませんが、採用活動を事業活動の一環であることを意識することで、企業の価値創造へと繋げることができます。

道場:
おっしゃる通りですね。Twitterなどで人事の方の個人を起点としてブランディングするケースもありますけど、企業のブランドイメージと紐づいてなければ、本来の目的とは逆のイメージギャップにもつながりますもんね。個人を起点として自社のことを知ってもらうアプローチは良いと思うんですけど、集める手段、接触する手段だけに留まっている感じはしますね。


自分たちの会社のこれからの物語にいかに興味を持ってもらえるか

戸田:
そうですね。人事アカウントだからと言って、就活や転職にまつわる発信は比較的少なめです。就活や転職のノウハウなどは、読み手もハウツーの要素で読んでいることが多く、それだと企業や人の印象が残らないことがほとんど。大切なのは「自分たち(企業)のこれからの物語」であり、いかにストーリーに共感してもらい、今後の展開に興味を持ってもらえるか。物語の続きが気になってもらうことで、記憶にしっかり残るし、心に留まります。方法としては「自分がどうなっていきたいか」を明確にし、その過程で「成長していく姿」を開示していくと面白がってもらえます。ワンピースでたとえるとルフィの「海賊王に俺はなる」って言うのが「自分がどうなっていきたいか」で「覇気のように技を覚えたり、負けた相手に勝つ」ことが「成長していく姿」ですね(笑)なんだかワクワクしませんか?僕だけ?(笑)前置きが長くなりましたが、だからこそ僕は「就活はこうやった方が良い」と伝えるよりも企業として人としての生き方(物語)の発信をしています。その方が、僕たちにとっては、その物語を一緒に作っていける同志に出会えるし、求職者にとっても自らで価値観のすり合わせができると思うんです。つまり出会いの質が自然と高くなるんです。

道場:
確かに、その辺は求人票だけではわかりませんもんね。Webによる事前の検索行動によって、「いかに正しく企業の認知をされるか」は、応募段階の質を変えると思っています。ところで、Giftでは、自社の社員だけではなく、社外のビジネスパートナーの方も含めてコンテンツ化されていますが、それも先ほどの自社のストーリーを描く視点で大切だったのですか?

戸田:
はい、そうなんです。自分たちの社員だけじゃなく、ビジネスパートナーにもスポットを当てたいと思っています。やっぱり面白い物語には、主人公以上にカッコイイ仲間がいますよね♪実際、僕らにも素敵な仲間がたくさんいるので採用メディアのテーマである「誰かを思う強い気持ち」を軸に取材して記事にしています。もちろんこの価値観を持っているのはビジネスパートナーだけに限らないので、街で素敵な笑顔で働く人にも取材ができたらなって思っています。スーパーのレジで声を掛けてくれる元気なおばちゃんや挨拶が素敵な交通整備のおっちゃんとか。きっとそういう人って仕事に対するこだわりとか信念をしっかり持っていると思うんですよね。そういった人たちを紹介することで『こんな生き方もあるぞ!』『こんな人間くさい社会人もいるぞ!』『働くって大変だけど、悪くはないぞ!』って。そういうメッセージがしっかり届けられるメディアを目指します。それが読者にとって誰かを幸せにしたいなって思うきっかけになったり、働くことで幸せの実現が出来ると可能性を感じてもらえる人が増えたら嬉しいし、それこそが企業として大切にしたい「優しさの連鎖が続く世界」に近づけることだと思っています。

それと、もう一つ、コンテンツ作りの視点でお話をすると、「ウサギと亀」の物語ってその物語を通して、努力の大切さが伝わるものなのに、亀がカメラ目線で「努力が大切だ!」と言ってしまっているものを最近よく見かける気がします。もちろん読み手もバカじゃないので「自分のポジションで言ってるだけでは?」とシラケてしまうんですよね。そのため情報の受け手を「どんな感情にさせたいか」を明確にし、文脈を上手く整えることによって相手に受け取ってもらえるように作ることが大事ですね

道場:
なるほど。企業のブランディング、マーケティング視点から戦略的に考えて生み出されたものだったんですね。採用広報とは視点は少し外れますけど、そもそもの大前提で「良い会社にしよう、良い社会にしよう」という観点が大切ですね。


1to1ではなく、意思決定を促す“空気づくり“こそ大切

戸田:
そうですね。よく団子屋さんで例えるのですが、まず「美味い団子」を作ろうとした方が良いですね。「不味い団子」をより多く売ることばかりに躍起になっても仕方なくて、まず、団子を美味くしようとする努力が大切です。ただ、だからと言って、万人に受ける味でなくても良いと思います。一般的にみんなが好きなものばかりを作っても、ファンは増えません。カレーやチャーハン、ラーメンばかりをずっと作ってる感じです。確かに美味しいけど、それは他の人たちでも作れるし、それなりに美味しいところもあるから、距離や値段で選ばれてしまう。だから、結果的に大事にされない。だから僕は、ゴーヤチャンプルーやしめ鯖みたいに「知る人が知っていて、ハマるもの」で良いって意識を持ってますね(笑)。

道場:
わかりやすい例えですね(笑)。自分たちの味が出てないと記憶に残りませんもんね。採用広報も流行りだからと始めても、続いているところとそうじゃないところがある印象です。短期成果のためのバズなどを狙って運用をしていたからでしょうね。

戸田:
たしかに。少し戦略っぽい話になるんですけど、いま、1to1の限界がきているって思うんですよ。「1to1で手厚くやりましょう」って言うのが知名度のない企業の成功パターンとして定着してきているじゃないですか。求職者のレジュメをしっかり読んで、対峙して、面談して、面接のような選考をせずに仲良くなって、みたいな。僕自身もそれで上手くやってきたんですが、実はそれだけだと弊害があったので、採用広報としての発信も大切にし始めたんです。その弊害と言うのは、ていねいに1to1で対応した人にとっては特別な存在になれたとしても、その本人の周囲の人にとっては全く無名の価値の無い存在になってしまうってことです。

道場:
1to1で親密な関係性作りをするだけで十分良さそうなものですが、それだけでは足りないと言うことですか?

戸田:
意思決定の時にマイナスが生じるんですよね。求職者の周りの人たちが「知らない」って致命的なことが多いんですよね。家族もそうだし、友達もそうだし、最低限その人たちが企業を調べた時に「良い会社だな」と思ってもらえる状態を作っておかないと、周りの人たちが前向きに捉えてくれないので本人の志望意欲も醸成しにくくなるんですよね。そういった意思決定を促す空気づくりをやっていきたいと僕は思っています。そのためにもWebで調べたら「知る人ぞ知る良い会社」とまでは思ってもらえるように、僕たち生活総合サービスやていねい通販に関する情報が充実しているだけではなくサービスに関する良いクチコミや取材記事が出てくる努力が必要ではないかと思っています。そして、それが全く出てこない会社にはどうしても不安になるのが本人以上に周りの人たちなのかなと。調べれば調べるほど「ていねい通販って、なんか良い会社ですよね」と周りの人たちに好意を持ってもらえるイメージですね。


採用メディアでは、母集団数は追わない方が良い

道場:
確かに、いまネットの時代でいろいろ調べられるようになってきて、親なども含めて採用の歩留まりに関与することが多くなってきたなと。僕の時代だと、自分で決めて後で親に事後報告って感じでしたけど。そこの価値観も変わってきたのかもしれませんね。

戸田:
僕も同じような考え方をしていたんですが、ちょっと意識するようになったことがありまして。いまの学生さんたちって、優しい性格の方が多いので、大学にまで通わせてもらった親に対して申し訳ないとか、親が喜んでくれるならと言う理由で就職先を決定していることも多いんですよね。特に、僕たちが出会っている学生は、別に意思決定ができないわけではなくて、親への感謝とか、ありがたさで言ってる子の方が多いなって思ったんですよね。そんな子たちに、僕たちが昔ながらの価値観のまま「自分で決めろよ!」と横柄でいるのも失礼だし、僕たちも協力したいなと思って。親御さんや友達が調べたら「良い会社だね」「よかったね」って言ってもらえるような環境づくりはしてあげるべきかなと。そういった優しい学生にとっては、親の顔色をうかがっているというよりも、喜ばせようと思ってる子たちがそれなりにいることが分かったので。もともとは、僕も体育会気質でしたけど、いまはそんな時代じゃないなって(笑)。

道場:
そう考えると、本人だけではなく、関係する周囲の人たちも含めた意思決定を促す情報のストック資産を作る。これは、とても大切なことですよね。そういった観点だと、自社採用メディアで狙っていることは、新規母集団を集めるといったコンバージョン、いわゆる自然流入をさせていくことを狙っているわけではないんですよね?

戸田:
そうですね。エントリー数を増やすためではなく、リピートマーケティングの発想で、ロイヤルティを上げることに特化しています。

道場:
と言うことは、選考中の志望度醸成とか歩留まり向上とか、リテンションといった定着率向上と言った観点ですかね?

戸田:
そうです。採用メディアで、絶対数を追って新しい接点を増やそうなんて思わない方が良いと思っています。バズることを狙って、流行に合わせたものを作ろうとすると、瞬間最大風速を狙わないといけなくなるので。それよりも、もっと内容的に普遍的かつ自分たちの価値観に沿ったものを取り扱って、コンテンツを濃いものにする。そんな濃いコンテンツをいくつか用意しておいて、求職者と面談などをした時にその人と話をして、「あっ!あなたに見せたいものがあってね!」と、コンテンツを引っ張り出して渡すなどの行為ができるといいですね。それはコンテンツの資産があるほど、渡せるシーンは増えるし、求職者にとって「自分のために選んでくれたんだ」と特別な体験を与えられるので、相手にとって喜びも増えると思うんですよね。

道場:
Giftの考え方にもつながりますし、特別感は大切ですよね。いまの自分に向き合って、自分のために最適なコンテンツを選んでくれたんだ、ってことですよね。無機質な情報ではなく、人にフォーカスして、ストーリーがあって、気づきや共感が得られる情報をストックしておいて、プレゼントしてあげる行為にこそ価値があるんですね。

戸田:
はい。日常の人間関係でも同じくあると思うんですけど、そんな大したものじゃなくても、わざわざ自分のために選んできてくれたってことに価値があったりしますよね。受け取り手が、それを価値として感じやすいので。例えば、のど飴でもパッと渡されるよりも、「昨日、咳してたから気になって持ってきてん」って言ったら、めっちゃ価値があるじゃないですか。そこの文脈を作っている感じですね。だから、いかに、「こういう文脈で使えるかな」は意識して用意した方が良いなって思いますし、自社の価値観に合った上で多様なコンテンツを持っておくようにしています。選考を希望する方の中で、自分たちの会社とは違った方であっても、コンテンツに触れていただくと「あ、良い会社だとは思うけど自分とは違うかも」と感じてもらうこともできます。

道場:
セルフスクリーニングで、自分とは価値観が違うけど良い会社だったなって、こっちから断らずに相手に思ってもらえるってことですね。

戸田:
はい。企業の色が濃くて、深いコンテンツの方が、それがしっかりできますね。


ポイントのまとめ

・採用活動は企業活動の一環
・自然体で、自分たちの会社を物語(ストーリー)に落とし込む
・1to1ではなく、意思決定を促す“空気づくり“こそ大切
・採用オウンドメディアでは、母集団数は追わない方が良い

この続きは、インタビュー後編に続きます。後編も是非ご覧ください!

■後編はこちら:https://arimama.net/case/336/


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