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【中小・ベンチャー企業の採用人事・経営者向け】今さら聞けない”ダイレクト・リクルーティング”で陥りがちな、6つの失敗例

こんにちは。FanReC Inc.の道場です。

本日はタイトルにもある通り、ダイレクト・リクルーティング(以下、DR)で陥りがちな失敗例として、これまで様々な企業様の採用支援をしてきた中で、ノウハウをお持ちではなかったがゆえに起きていた失敗例を紹介しようと思います。

※本記事は、主に中小・ベンチャー企業の採用人事になりたての方、経営者の方向けの記事です。DRのノウハウをお持ちの方は、華麗にスルーしてください^^

そもそも、ダイレクト・リクルーティングって?

DRは、その名の通り、求職者を「ダイレクト」に「採用」することです。

ダイレクトにつながる方法としては、TwitterなどのSNSでDMを送ったり、自前でイベントを開催するなどの方法もDRの一つの方法ですし(これは、自前で認知獲得活動が別途必要なため、少し難易度が高い)、それこそ、飲み屋で横に座った見ず知らずの人「うちの会社に来ませんか?」と声をかけるのも、ダイレクト・リクルーティングです(笑)。

現在のHR内では主に、人材サービス会社が保有している人材データベースに対して、直接、採用したい企業側が何かしらの条件に基づいて検索をかけ、抽出された候補者に対して「スカウトメール」を送って、反応があった人を面談・面接して採用につなげるというアプローチのことを指すことが多いです。「データベース・リクルーティング」と言ったりするものと同様です(これも略すと、DRなので少しややこしい・・・)。

提供されているDRサービスだと、キャリア採用市場なら、「ビズリーチ」「doda Recruiters」などの総合型から、エンジニアやクリエイターに特化したものまで、様々なサービスがあります。

また、キャリア採用市場だけではなく、近年は新卒採用市場にもサービスが発展しており、新卒市場だと、「Offer Box」「アイルーツ」などが総合型サービスです。最近では、最終面接のお祈りメールを推薦状にできる「ABABA」という特徴的なサービスも出てきました。(求人広告もスカウトメール機能があるのでDRサービスと近いのですが、ここでは割愛します)

この記事では、採用市場で一般的に取り組まれるようになってきた、このデータベース・リクルーティングをことを指したDRについて失敗例を紹介していきます。採用実務面にフォーカスしていますので、当てはまる失敗例があれば、これを改善するだけでも反応率や移行率などの効果は上がるのでは?と思います。

人材紹介エージェントしか使っていなかった場合や求人広告での訴求内容を人材ベンダーに全て作成してもらっていた場合、

  1. 自社のターゲットが誰で(採用ペルソナ像の検討)
  2. 情報として何を求めていて(情報ニーズやインサイトの理解)
  3. 自社の何を伝えれば良いのか(USP:自社の売りの抽出)

といった、DR開始前の少し上流サイドの採用戦略設計ノウハウそのものが不足しているケースも多いのですが、その辺りは、また別の機会でご紹介できればと思います。

「潜在層」と「顕在層」が存在する

まず、念頭に置いておく必要があるのは、これまでの求人広告や人材紹介と出会っていた求職者とは違って、「今すぐ、もしくは数ヶ月後に転職をしたい!」と思っている方ばかりじゃないということです。これまで出会っていた「すぐに転職をしたい層」を「顕在層」と呼びます。

一方で、人材データベースの中には、「良いところがあったら転職しようかな…」「現職は辞めるつもりはないけど、候補となる企業の情報だけは集めておこう」といった、今すぐじゃない熱量の人などが存在します。これを「潜在層」と呼びます。

つまりは、転職・就職に対する状態も熱量も異なる人たちが人材データベースに入り混じっているということ。意外と、この前提を理解できていないままにDRを取り組んで失敗することも多く見聞きするので、あらかじめ理解をした上で、DRサービスを活用したいものですね。

それでは、早速ここからは良くある失敗例を見ていきます。

【CASE1】人材データベースごとの特性を捉えられていない

様々なDRベンダーがあり、そこには人材データベースの特徴があるのですが、その特徴を把握することなく、サービスを導入してしまったり、どのDRサービスにも同じような内容でスカウトメールなどを発信をしていることはありませんか?

例えば、3ヶ月以内の比較的、急募で人材を募集したいのに、主に潜在層データベースがメインの媒体を使ってしまい、効果が出ていない。また、ポテンシャル人材の採用なのに、アッパー層が多く登録しているDRサービスを活用しているなど。これは、採用ターゲット、採用したい時期に対して、DRサービスの選定を間違えてしまったという例です。

また、DRサービスの選定は間違ってないのですが、それぞれの特性を捉えられていないために、内容が同じようなスカウトメールのテンプレートを送ってしまい、効果を出せていないケース。例えば、先程お伝えしたように、潜在層と顕在層とでは、状態や熱量は異なります。それに合わせて、スカウトメールでの声の掛け方は変わるはずですが、最適化されていないケース。

理由をお伺いすると、DRに登録されている人材データベースがどんな人たちなのか、知らなかったので、考えてもしていなかったというのが、意外と多いんですね。

ちなみに、人材を募集したい採用人事の方や経営者の方は、求職ユーザー登録促進のページを見る機会は少ないと思いますが、媒体・人材データベースごとにユーザーの集め方に特徴があったりします。つまり、そのDRサービスの求職者ユーザーの集め方の訴求に、登録したユーザーの期待、DRサービスとしてのユーザー側への提供価値があるということです。どのような文言で求職者ユーザーを集めているのかを見てみるのも、DRサービスの特徴を捉えるヒントになると思います。

<POINT:DRサービスの求職者データベースの特徴を捉える>
・顕在層が多いのか?潜在層が多いのか?混合している場合は、その比率は?
・自社がターゲットとしている人材は、人材データベースに存在するのか?存在するのであれば、どれくらいいるのか?
・どのような集め方で、求職者の登録を促しているのか?(仕事探し目的よりも、年収診断や市場価値判断、ユーザー登録する特典で適性・適職診断ができるなどの名目だけの場合は、転職/就職潜在層の登録が多いと思われる)
・人材データベース総登録数だけではなく、アクティブ人材はどれくらいいるのか?(求職者が登録だけして、放置している場合はユーザーが定着していないためスカウトメールを打っても、求職者に届かないため、そもそも反応が見込めない)

【CASE2】採用ターゲットの範囲が狭すぎる

キャリア採用のDRサービスでは、主に経験業種・職種、保有スキル・資格、年収などのハード情報からデータベースで検索をし、フィルターをかけることが多いと思います。しかし、その前提としてセットしている検索条件、本当に全て「Must条件」でしょうか?あれもできる、これでもできる、と欲張りな要件になってしまい、「そんな人いない…」「自社で出せる年収レベルの人材ではない…」といった、非現実的なスーパーマンを求めるような人材要件になっていないでしょうか?

例えば、即戦力人材を採用したい場合、分かりやすく同じ業界で同じ職種を経験している人を探そうとすることが多いと思いますが、そういった人材だけをターゲットにすると、かなり狭いゾーンで採用活動を行うことになります。本当に業界の経験は必要なのか?別の業界でも職種が同じであれば、転用が効くのではないか?未経験であっても、ポテンシャルがあれば入社後の教育で早期戦力化が見込めるのではないか?希望年収ゾーンがハマってなくても、魅力の訴求で振り向いてくれるのではないか?など。

(ヘッドハントなどの人材募集の場合は、全ての条件が合致することも必要かと思いますが、ここでは、採用要件を狭めてしまいがちな良くある失敗例としてご紹介しています)

このように、できるだけMust条件を少なくし、MustとBetterの条件を切り分けて、ハードルを最小限にしておくと人材検索の選択幅が広がります。それらのターゲット分類に合わせて、スカウトメールの訴求を変え、反応を高めていくイメージです。

<POINT:採用ターゲットの幅を広げる>
・その採用要件は、本当に「Must条件」なのか?
・業界や職種経験者じゃないとダメ、有資格者じゃないとダメ、転職回数が多いとダメ、希望年収が高すぎるダメなど、現場が求める人材要件を採用市場と照らし合わせて期待値調整ができているか?人材データベースに登録されているデータだけで、思い込みによる自動排除をしていないか?

【CASE3】自社が勝てる土俵で戦っていない

私はこれまでの経験で、中小・ベンチャー企業様の採用活動の支援をすることが多かったのですが、提示できる年収や福利厚生などのハード面の採用条件では、大手企業に採り勝つことは不可能です。ですが、スカウトメールに仕事内容とその待遇面のことばかり書いてあるケースがありました。比較されやすい軸で横並びされると、どうしても劣ってしまいます。

つまりは、中小・ベンチャー企業の人材採用においては、大手の強者戦略である「ハード条件のガチンコ勝負」を挑まないことが大切で、ソフト面での自社の魅力を伝えるなど、「軸ずらし」をした方が良いということです。

昨今、様々な外部環境の変化の後押しもあり、働くことの意義が見つめ直されています。何ができるかよりも大切ですが、それよりも、なぜやるのか。多様化する価値観の中、転職や就職も一つの選択肢になってきた時代。特に若手には、その意義を求める傾向が強いと感じます。

仕事内容そのものも大切ですが、それ以上に、仕事という自分の人生の時間をどんな社会的意義へと捧げるのか、その「Why(なぜやるのか?)」にこだわって応募される人は、物事を深く掘り下げ、精神的報酬に価値を置いていて、優秀な人材の方が多い印象があります。

だからこそ、自社のミッション、ビジョン、バリュー、カルチャー(MVVC)などのパーパス、組織の価値観の発信による「言葉の力」は、中小・ベンチャー企業の大きな武器だと思っています。

<POINT:自社が勝てる土俵で戦う>
・ハード条件ではなく、ソフト面で戦う。
・ターゲット人材が魅力に感じる自社の魅力は何か?(ターゲットが求めるニーズと自社の提供できる環境の結節点はどこか?)
・想いやストーリーの発信で、勝てる土俵に。

【CASE4】スカウトメール文面が無難で、攻めていない

スカウトメールも1つのコンテンツだと思っています。つまり、コンテンツであるということは、「相手が求めている情報を届ける」ことが基本スタンスです。

しかし、相手が欲しい情報ではなく、自社が届けたい情報だけに終始しているスカウトメール文面を目にすることが多いです。良くあるケースとしては、「あれもこれも」と並列に情報を盛り込みすぎることで、結局、何を伝えたいのか分からず、記憶に残らないということ。

採用する側の発信側は、「どれか1つの情報にでも、食いついてくれれば…」という期待感で盛り込むのですが、これは実は逆効果です。余計な情報が多くなると、「自分のために送られたスカウトメールなんだ!」という納得感が低下し、反応率は落ちます。情報過多でお腹いっぱいで、消化しきれません。

私の所感ですが、中小・ベンチャー企業のスカウトメールは、固定概念に囚われたり、守りに入るよりも、もっと攻めた方が良いと思っています。スカウトメールは採用活動フェーズの初期認知。印象に残らなければ、次の採用ステップには移行しません。長い文面は読まない、短い文面は魅力が伝えられない、役職の上の人から送った方が良い、と言った小手先の見せ方ではなく、発信する中身の「一点訴求」を狙うイメージです。

求職者に無難な情報を送って判断を待つのではなく、企業側から、プロフィールを見て、求職者が自社に入った時の活躍イメージを想像し、積極的に提案をしていく。キレイに装飾をするよりも、ありのままの言葉で、「こんな想いを持ってやっている会社で、ぶっちゃけ課題もあるけど、こんな世界を実現したい。そのための仲間探しをしている。〇〇さんのような人と一緒にやりたい。ぜひ一度、カジュアルな場でお話ししたい。いかがですか?」と。

シンプルで、雑な感じも受けるかもしれませんが、良い部分も課題も含めて生々しくてリアリティがあり、気持ちも伝わると思うんです。

採用競合もスカウトメールはたくさん送っている中で、自社を記憶に残さないといけません。時には、盛大に外すこともありますが、、、刺さる時は間違いなく求職者の印象に残るはずです(外したとしても、しっかりプロフィールを見て送ってくれた企業は、求職者にとってプラスの印象として記憶に残ると思います)。

<POINT:スカウトメール文面をもっと攻める>
・スカウトメールはコンテンツ。
・「あれもこれも」と情報を盛り込むよりも、その採用ターゲットに対して刺さる一点突破を。
・キレイに着飾るよりも、ありのままの言葉で伝える。

【CASE5】スカウトメール以降の採用プロセスが最適化されていない

DRでスカウトメールを送り、カジュアル面談を提案しているのに、求職者から反応があった後の社内の採用プロセスが最適化されていないのも、よく見受けられるケースです。

求人広告などで集まった、いますぐ転職をしたい層(顕在層)であれば、面接でも違和感はないでしょう。しかし、まず話を聞いてみたいと思っている層(潜在層)の場合は、企業に対しての入社動機はそこまで高くないのに、人事ではない現場の社員にはそのような共有がされておらず、いきなり面接を行ってしまうなど、不幸なことになるのを目にすることがあります。(ネットでも、カジュアル面談だと思って会ってみたら、ガッツリと志望動機を確認される面接で引いた・・・みたいなクチコミはよく見かけますよね)

「潜在層」と「顕在層」では、求められている情報が異なります。もちろん、潜在層の方が魅力づけ(アトラクト)は強化しないといけません。採用プロセスを通じて、求職者の状態に合わせて情報を提供し、育てていくイメージです。

スカウトメールや面談・面接などのアプローチの方法を最適化できないことで、採用活動が上手くいかない要因がわからず、求職者に対しても、意図せず不快な思いをさせてしまうということにならないよう、採用人事がしっかりと採用活動のディレクションを担いたいものですね。

<POINT:スカウトメール以降の採用プロセスを最適化する>
・スカウトメール以降の求職者と会社の接点も、採用人事としてディレクションを。
・社内の採用関係者にも、採用チャネルごとに出会い方、魅力づけの方法の設計し、必要に応じて同席することで場のファシリテーションを。

【CASE6】釣れるか、釣れないかだけの短期視点となり、池(データベース)が枯渇する

DRはスカウトメールで一本釣りをする性質上、どれだけ、1to1に寄せてパーソナライズ化できるかが大切なのですが、多く母集団を形成するような求人広告手法の名残りが強いと、求人広告のDMのような感覚でスカウトメールを乱発してしまうことがあります。

「採用競争力=ブランド×コスト×手間」と定義すると、中小・ベンチャー企業は前者2つは、大手には勝てません。ですが、「手間」では勝てます。だからこそ、「手間」をかけることで採用競争力を高めていくことが必要ですし、ランチェスター戦略で言う弱者の戦い方のセオリーは、局地戦です。大手がやらない「手間」をかけてこそ、採用市場で勝てるんですよね。(中小・ベンチャー企業ほど、採用活動に割けるリソースも無いのも理解はしていますが、そう言った場合はお声がけください^^)

リソースが限られているからこそ、どこにリソースをかけるのか最初に採用戦略を立て、絞り込んでスカウトメールの反応確度を高めることを目指すのが大切なのですが、スナイパー的に動くのではなく、逆にマシンガンのように乱発して、成果が上がらないといったケースを目にすることがあります。

一度、求職者側の立場を想像してほしいのですが、スカウトメールを見て、いきなり一目惚れ、内定承諾なんてことは、ほとんど起きないんですよね。ですが、採用活動をする企業側は、数ある業務の中の一つのタスクとして捉えてしまい、都合よく「工数が増えるのがめんどくさい」「出会って一目惚れさせたい」と考えてしまいがちです。(HRにおける経営的な優先順位が低いのも課題としてはありますが)

一人の人にとって、仕事は人生を左右する大切な選択です。しっかりと時間をかけて、自分に合う会社、入社する会社を吟味して選びたい、就職に失敗したくない、という心理があるのは当たり前です。そこに対して、「手間」をかけて寄り添っていくしかないのですが、スカウトメールの乱発、タイミングが合わない、といった短期視点に捉われてしまうのはもったいないことです。

長い目で見れば、採用目線だけではなく、良い出会い方ができれば、その求職者の方が知り合いに紹介してくれたり、SNSに記入してくれたり、顧客となってくれたり、タイミングが合わなくても数年後に採用応募に至る、ということも起きてきます。短期目線だけに捉われるのではなく、採用活動は自社のことを知ってもらう最初のきっかけであり、「ファンづくり」の一環であるという認識で、採用体験(CX)をアップデートしていきたいですね。

<POINT:中長期視点でデータベースを育て、自社のタレントプールを作る>
・「採用競争力=ブランド×コスト×手間」。中小・ベンチャーは大手がやらない手間こそ、勝てるポイント。
・スカウトメールも1つの出会い。スカウトメールで釣れる、釣れないの発想ではデータベースがすぐに枯渇化する。求職者との出会い方や採用体験(CX)を見直し、中長期視点で自社のタレントプール作りを意識する。

最後にお知らせ

潜在層、顕在層いずれの層にも、情報を発信し、ゆるくつながり続ける方法として、採用広報の取り組みが注目されています。

スカウトメールに添付したり、採用プロセスの中でその人に合った情報を届けるなどで、動機形成をするのにも役立ち、選考移行率(選考歩留まり率)を向上させる成功事例も多くあります。(例えるなら、DRのスカウトメールの効果をアップさせる、補助魔法のようなものです)

採用広報コンサルティング・オウンドメディア構築・運用支援サービス『arimama』ほか、当社の事業およびサービスに興味・関心をお持ちの企業様は、お問い合わせフォーム(https://fan-rec.com/contact/)よりお気軽にお問い合わせください。

「採用戦略の大きな枠組みから再構築したい」「採用広報に関するノウハウが無い」「採用の課題は感じているが、何から見直したら良いか分からない」「スカウトメールなどのコンテンツ改善、選考歩留り(移行率)を改善したい」「伴走してくれるパートナーと取り組みたい」という各社ごとに異なる状況に応じて、まずは詳細なヒアリングの上、最適なご提案をさせていただきます。

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